「炭住先生」と同窓会/川崎町

 筑豊地方で1960年代、貧しい子どもたちにボランティアで勉強を教えて「炭住先生」と呼ばれた当時の大学生と子どもたちの同窓会が25、26の両日、川崎町の安宅交流センターなどで開かれる。学生たちが所属したボランティア団体「筑豊の子どもを守る会」が発足して今年で50周年になることから企画された。関係者の中には数十年ぶりの再会となる人もいる。

 日本キリスト教協議会の呼びかけで、東京神学大学など各大学の学生が61年に同会を組織した。最盛期の63年ごろには約10大学、250人の学生が参加した。

 同会は夏休みの10日間~2週間程度、学生グループ「キャラバン隊」を筑豊に派遣。学生たちは、子どもの面倒を見る余裕のない大人に代わって子どもたちに勉強を教えたり、一緒に遊んだりした。同会の活動は69年ごろに事実上終了したが、中には卒業後、現地に移住してボランティアを続けた人もいた。

 今回の「50周年の集い」は、元炭住先生で、関西学院大学大学院卒業後に川崎町に移り住んだ松崎一さん(70)ら、元先生・生徒数人が企画した。

 25日は当時の活動を撮影した映像を収めたDVD鑑賞や食事会、26日にはキャラバン活動をしていた同町の上豊州地区を訪問する。松崎さんは「50周年は大きな節目。関係者の年齢を考えれば、最初で最後の集いになる人がいるかも知れない」と話す。

 中学時代に炭住先生に勉強などを教わったという同町の土木作業員大曲政美さん(63)は「勉強だけでなく世の中のことなどいろいろ教えてもらった。自分にとって生活の一部になっていた」と懐かしがる。

(2011年6月25日 朝日新聞)