被爆マリア 欧州巡礼へ 来春、ゲルニカなど13都市 浦上天主堂
長崎原爆で首から下を失った「被爆マリア像」が、被爆から65年を迎える来春、スペイン内戦で無差別爆撃を受けた同国のゲルニカ市などで公開される。長崎市のカトリック長崎大司教区が主催する平和巡礼団とともにスペイン、イタリアの13都市を巡る計画。像を安置する浦上天主堂の小島栄神父は「物言わぬ被爆の証言者として、平和を訴えてくれるだろう」と期待している。
マリア像は1930年にイタリアで彫られた木像。原爆で全壊した旧天主堂のがれきの中で、右ほおが焼け焦げ、両目が空洞になった頭部だけが残っていた。大司教区によると、85年にバチカン、2000年にベラルーシで展示されたことがあるが、海外の複数都市を巡るのは初という。
巡礼は来年4月20日-5月1日。ローマ法王との面会や、ゲルニカの無差別爆撃犠牲者の追悼ミサ参列を予定。被爆した信者も同行し、原爆の悲惨さを講演する。高見三明大司教は「オバマ米大統領が核廃絶を提唱したが、脅威がなくなったわけではない。長崎のメッセージを強く広く伝えたい」と話している。
(2009年10月29日 西日本新聞)