■福音と世界(2月号)

 出エジプト記1~2章による日基教団巣鴨ときわ教会牧師・増田琴の説教《いのちを紡ぐ輪》、引き込まれる。太田愛人の《明治キリスト教史の周辺・8》は、ラファエル・ケーベルが「ただスチューピド(愚鈍)なだけ」と評した井上哲次郎の軌跡を追って読ませる。上智大学教授・片山はるひが《日本近代文学の中のキリスト教・3》で、遠藤周作の『沈黙』の主要テーマが「神の沈黙」ではなく、イエスに同伴された「弱か者」の恩寵による変容のドラマ、と指摘する。
 《神学の履歴書・6》で佐藤優は「近代市民社会の完成による歴史の終焉を肯定的に評価するというバルトのねじれた歴史哲学とは別の、チェコ宗教改革の終末論に裏付けられた歴史哲学」がフロマートカにあった、と。
 特集=福音と時代2。日基教団「闘争」前後を岩井健作、戸田伊助らが描く。聖書信仰を土台とした福音派の宣教について「この世の時代精神である強く、大きく、豊かであることを善とする成功主義で疑問もなく続け」られている、と日本福音キリスト教会連合那珂湊キリスト教会副牧師の細川勝利が指摘する。
 《現代における韓国の神学的動向・上》。延世大学教授の徐正敏が行った講演を紹介。短いが整理されている。関西学院大学教員(ママ)の栗林輝夫《オバマの「国民統合」の神学と政治》はタイムリーな記事。ドイツに「超訳」聖書が登場した事情を吉田新がレポート。(新教出版社・600円)

■信徒の友(2月号)

 特集=悪より救い出したまえ。関西学院大学教授の栗林輝夫が《悪、この魅力的で不可解なもの》。臨床心理士の藤掛明が犯罪カウンセリングの経験から《「悪」に陥る心理》。ティーンチャレンジ・ジャパンの山城テモテが《薬物依存症から解放されて》を証し。
 《ヒット曲の神学》で同志社大学教授の関谷直人が「私たちは主イエスにあっては誰もが『世界に一つだけの花』であることを歌い続けたい」と。《マンガ キリスト教入門》で春名康範が「バラバラであることが、お互いに赦されて生かされているしるしかも」と。(日本キリスト教団出版局・570円)