関東大震災の惨状克明に記録、米女性宣教師の手記など開港資料館へ寄贈/横浜
関東大震災の被害を受けた横浜の様子を記録した米国人クララ・D・ルーミス(1877~1968)が残した資料が27日、在日米国大使館から、横浜市中区の横浜開港資料館(上山和雄館長)に寄贈された。がれきの山と化した横浜の街や復興に努力する人たちの様子が克明に記録されており、地震防災を考える貴重な資料となりそうだ。
同資料館によると、ルーミスは女性宣教師で、共立女学校(同市中区山手町、現・横浜共立学園)で35年にわたって校長を務めた。群馬県内滞在中に関東大震災の発生を知り、3週間後に横浜に戻ったという。
寄贈資料は震災から復興する横浜の様子を記録した自身の手記のほか、知人の手記など、文書5点。自身の手記には、当時の横浜駅周辺や海岸通り、山手の様子などが細かく記録されている。
震災を横浜で経験した知人の手記には「人々は黙々と忍耐強く荷を運んだり、仮小屋を作ったりしていた。(中略)私が見たのは静けさと秩序と相互の助け合い以外の何物でもない」などと書かれている。
資料は米国大使館で保管されてきたため、研究者の間でも知られていなかったという。上山館長は「震災当時の外国人の様子が分かる新発見といえる」と話している。
同日、開港資料館で式典が開かれ、寄贈を発案した在日米国大使館のジェームス・P・ズムワルト首席公使が資料を上山館長に手渡した。
2013年の震災90周年に合わせた展覧会の目玉として、公開される予定。
(2011年5月28日 神奈川新聞)